天の声に絶賛された心マ
COVID19関係なく
病院全体の重症度が高くなり
院内に数台しかないECMO(人工心肺)は
とっくに数が尽き
系列病院から機器を取り寄せてまで
追加でECMOを稼働させている日々
私のいる
5階ICUCCUだけでは賄えず
6階のICU
さらには
ER病棟
といった、
ユニット部門の病棟に分散させて
ECMO,重症患者をみている
ICUCCUでは特に一番稼働数が多い
多い時で4台になりかけたが
さすがに人員が確保できず
(ECMOを自立してみることができるナースは
4年目以降のリーダーレベルのナース)
3台は常に回っている
以前のCCUでは
1台回ればいっぱいいっぱい、
2台回ることはそんなにない、
と言う感じだったのに
今はもう
人工呼吸器レベルで
ECMOが病棟内に溢れている
すごいなぁ
逆に言えば
こんなにECMOをみれる機会なんて
本来はそうそうないわけで
勉強の機会も実践の機会も
そうそうないわけで
こんなにOJTでECMOを学ぶことができるのは
かなり、かなりかなり
恵まれていると言える
先日も
COVID19の
ECMO装着患者さんをみていた
ある日はV-V ECMO
ある日はV-A ECMO
をみていた
(VVとVAの違いは以前の記事参照
簡単に言うとV-Aの方がより重症)
17:00が定時の就業時間だが
医療機器の申し送りをしていると
かなり時間を要するため
申し送りだけで17:30、、
さらには18時近くになってしまう
そのあとに
終わっていない片付けや記録をしたり
するわけだから
そりゃあ最近定時で帰れるわけはない
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さて、先日はCOVID19のV-V ECMOをみており
夜勤さんへの申し送りを
17:45くらいまでしていた
やっと申し送りが終わり
陰圧管理の隔離個室から抜け出そうとした
やれやれ!やっと終わったぜい!
残りの記録サッサとやって、早く帰るぞ!
そう思った瞬間
血圧がどんどん下がり
30台に
次の瞬間
アレスト(心停止)したのだ
VAの場合は心臓も補助するため
少しくらい心臓が止まっても
ECMOで補助できる
しかしVVの場合は呼吸の補助
つまり肺の補助だけであり
心臓の補助はしないため
心臓が止まると
チーンである
なんとかECMOを回そうとするドクターたち
しかしやはり血圧が出ない
よし、心マだ!
私が申し送った夜勤ナースが
心マ(心臓マッサージ)を開始していた
私はすでに防護具を脱いでおり、
部屋の外に出た瞬間だったため
外からその状況を眺めていた
しかし心マを続けても
いっこうに圧は回復せず
心電図もVFのまま
(心臓が正常に動いていない状態)
すると
師長さんが大きな声で呼びかけた
これからVA入れるって!!
日勤さんで残れる人いる!?
3人くらい!!!!!
私はすぐに挙手した
なんたってその日1日
自分の担当だった患者さんなわけだし
一番情報は分かっている
そして急変対応は得意だ
さらにはVA ECMO挿入の
介助についた経験もある
ここは私が残らないわけがない
すぐに防護具を装着し直し
個室に入った
そして
次のタイミングで心マ変わります!
と夜勤さんに伝え
1,2,3,4,5!の合図で心マを交代した
通常ベッドは高いため
心マの時に体重と力をかけやすくするため
足台を準備し
その上に乗って心マをする
しかし足台は周囲になかったし
誰しもがその部屋に入れるわけではない
私は瞬時の判断で
ベッドの上に乗っかった
防護具で覆いきれないズボンの一部に
菌がついているだろうが気にしない
ベッドの上に乗っかり
ひざまづき
全身で心マを開始した
すると
血圧がどんどんと出る
A圧で120以上の圧が
一定のリズム間で刻まれ始めた
ドラム経験者だけあって(自分で言うのもなんだが)
リズムにブレがなく
綺麗に一定間隔、一定圧の
絵に描いたような圧波形が出た
そして天の声が聞こえた
お、心マ良いねぇ〜
良いねイイねぇ〜!!!!
心マうまいなあ!!!!
この天の声は
幻聴ではなく
本当に天から聞こえる声である
eICUという
モニタリングシステムがあり
別の場所にセンターがあり
カメラとモニターを通じて
遠隔で部屋の様子を監視したり
アドバイスしたりできるシステムがある
そのeICUに
集中治療科の一番トップの
お偉いドクターがいたのだ
遠隔で他の場所から
この急変の様子をモニタリングし
指示を出していたのだ
もともとeICUはCOVIDうんぬんではなく
別の目的で
3年ほど前に病院に導入されたのだが
誰しもが入ることのできない
隔離個室のモニタリングを
別の場所からタイムリーにできる
という仕組みは
今の状況下ではかなり画期的だ
私はその天の声に褒められながら
ひたすら心マを継続していた
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その後も心マを何サイクルかして
モニターチェックで
波形を確認した
脈が再開している、血圧も出ている
「ROSC!!!!◯◯時◯◯分!!!」
ROSC(ロスク)とは、
心肺停止していたのが心拍再開することを言い
心拍再開時にその時刻とあわせて
ロスクなんじなんぷん!!!と言い
ロスクの報告とその時間を
周りのスタッフへ周知させる
そして、心肺停止時間が何分間だったのか
も把握する
「VAはなし!入れない!!」
集中治療科のドクターが外で言っていた
心拍再開したからVAはいれずに
VV ECMOで様子を見るということだ
しかし
VAを入れるためにやってきた
循環器内科ドクターたちが
(ECMO挿入は、循環に関するカテーテルの処置となるため循環器内科の担当となる)
「今は持ち堪えたけどまた同じこと起こったらどうするんですか!!心臓弱いんだから同じこと起こるでしょう!VA入れましょうよ!!」
VA ECMO挿入による侵襲も大きいため
入れなくて良いのであればそりゃあ
入れない方が良い
だけど
循環器内科ドクターが言った通り
今後も急変する可能性があるのだから
入れておいたほうが良いというのもわかる
看護師として個人的な意見では
夜勤帯スタッフの人数が少ない時に
急変したり、やっぱりVA入れるとなったりしたら
今以上に大変となりスタッフも足りず
他の患者さんの安全を守れなくなる可能性
も出てくるため
入れるならスタッフが確保できている
今このタイミングで入れたほうが良い
と思っていた
審議の結果
VA ECMOの機械自体は繋がないが、
いつでも繋げるように
シース、といった
VAを繋ぐための管だけを挿入しておこう
ということになった
その準備をして
ようやく夜勤さんにバトンタッチして
私の長い長い勤務は終えた
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その後別のスタッフから
「こりんさん
心マ上手いってさ、先生が褒めてたよ!」
と先輩から言われ
別のスタッフからも
「こりんさん、集中治療科の◯◯ドクターが
心マ上手いって褒めてました!!!!」
と言われた
もう1人のスタッフからは
「集中治療科から褒められると、こりんさんのことなのに私も嬉しい。合併して間もなくて、まだ私たちのことをあんまり信頼してない感じがあったけど、こういうことがあると信頼を回復できてるのかなって思えて、私まで嬉しい!!」
と言われた。
その声が本当に嬉しかった。
どうやら集中治療科トップのドクターは
天の声で私に褒めてくれた後にも
別のスタッフにも
私の心マを褒めて話していたらしい
すると私の隣にちょうど
師長さんがいて
なになに?と聞かれた
私は褒められたことを師長さんに説明した
「私が心マ変わったら、血圧がかなり出て、そのあとROSCしたんです、◯◯先生がeICUでそれをずっと見てて、心マいいねえー、上手いねぇ〜!!!!て言われました。」
すると、あまり褒めないクールな師長さんが
「おぉ、いいじゃん、すごいじゃん?やるじゃん。」
とクールに言った。
嬉しかった。
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おまけ
そのあと
プリセプティの男の子が来た
「こりんさんっ、画面で見てましたよ、心マっ!良かったっすね!すごかったっす!ああいう感じなんっすね!うまかったっす👍」
サムアップしながら私にそう言ってきた
なぜか上司に褒められるかのように
プリセプティに褒められた。
周りのスタッフ
「なんか上からじゃない?もっとさ、こりんさん、勉強になりました!とか、言うじゃん?普通。よかったす👍てなに?上からでウケるんだけど。」
私
「いやー、プリセプティに褒められて恐れ多いですねぇ、ありがとうございますぅゔ。(苦笑)」
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